<大井川>
人々を幸せの岸へ渡す大白法
大井川は、静岡と山梨の県境にある赤石山脈・間ノ岳に源を発して南へ流れ、島田と金谷の間に出て駿河湾に注ぐ。修学のために京を目指した日蓮は、乗馬か徒歩で浅瀬を求めつつ、この川を渡っていったことだろう。 思えば遠くインドの地において、釈尊の菩提樹下の成道に源を発した仏教は、その後、大河の流れとなって、中国、日本へと伝えられている。 貞応元年(1222)二月十六日、安房小湊で生誕した日蓮の仏法もまた、今や滔々たる潮流となって、全世界に広がっている。 日蓮の両親の名は、父が三国の太夫、母を梅菊女という。後世の説に、両親の身分を高貴であったとしているものがある。しかし日蓮は、自身が、辺国の名もない漁師の子であると言って、庶民であることを高らかに宣言している。 仏の教えは、悩める人々を迷苦の此岸から、悟りの彼岸へ渡すことを目的とする。 末法万年の闇を破る日蓮の大白法は、常に庶民の上に注がれ、幸せの彼の岸へ、一人ももれなく到達させることを可能にするのである。 |
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(金谷)