≪まえがき≫

 このWebページは、1987年4月28日に出版して、我が人生の師匠である池田大作先生に献呈させていただいた「富士と日蓮大聖人」をもとに作成されました。今回の作成では、写真をモノクロと同時に撮影したカラーに替え、語句にも若干の修訂を施しました。
 「富士と日蓮大聖人」は、日蓮の妙法弘通の舞台背景には、佐渡期を除き、必ずといってよいほど富士があることから、日蓮が見た富士を再現して、その心象風景に近づき、さらには、日蓮の実人格に直接するためのよすがとしたいというのがテーマになっています。
 おかげさまで、出版の直後、東方学院の研究会員として五年間、親しく謦咳に接した中村元先生、大学在学中から、折りに触れてご指導を賜っていた梅原猛先生や、川添昭二先生、木村重信先生、塚本啓祥先生、高木豊先生、中村了昭先生はじめ、多くの方々から過分な評価を戴きました。また、東京晴海の国際見本市会場で行われた「第31回軽印刷文化展」では、装丁部門の審査委員長賞を受賞しています。
これまで、日蓮は、さまざまな観点からいろいろと論じられ、また、信仰の対象として、多くの人々の尊崇を受けてきました。けれども、心酔者が多くある半面、ある種の反発を覚える人があることも事実でしょう。
その理由については、日蓮が排他独善的であるとか、軍国主義に利用された国家主義者であるとか、外向的で、哲学的深みに欠ける人物であるとか、そういったことが理由になっているようです。
 こうした日蓮に対する誤解と無理解のよってきたるところは、日蓮の教説がいまだ体系化されたものとなっておらず、加えて日蓮の教説が観念的思弁を排し、実践の裏付けと密接したものであること、後世の諸伝記に伝える虚構が実像を矮小化したことなどが考えられるでしょう。
 私は、日蓮の生涯とその足跡を克明にたどり、日蓮の著作を精読していくにつれて、そこに人を引きつけてやまない魅力あふれる人間像と“豊かなる日本的精神の明日”を見る思いがしてなりません。また、日蓮の教説と生涯を正しく知ることは、普遍的にして具体的な精神的支柱を得ることができるという予感と確信を抱いています。
 では、日蓮における豊かなる日本的精神とは何でしょうか。それは、今後、Web上で、徐々に伝えていければと思っています。
 ところで、富士を愛する心、富士を憧憬する思いは、多くの日本人が等しく持つ心情といえるでしょう。沖縄の子供たち、北海道の子供たちは、会津磐梯山を描けなくとも、富士山はすぐに描くことができます。各地には各地の富士があります。機上から、あるいは車窓から富士が見えると、カメラを向けたり、驚嘆の声をあげる人が必ずおられます。富士を愛する心を、国土愛、自然愛に高め、さらに地球規模にまで拡げていくことができれば、その心の連帯は環境破壊への大きな歯止めにもなっていくのではないでしょうか。
 ともあれ、このページをご覧になった方々の心の中に何かが残り、あるいは、これが日蓮の足跡と実人格を知るための一助ともなれば幸いです。
 なお、写真撮影には、紅陽会会員・大谷功一氏、ウェブページの作成には松岡義一氏のご協力をいただきました。

1997年4月1日(修訂2019.10.13)


撮影協力:大谷 功一
      1944年1月、東京都大田区に生まれる。
      紅陽会会員。

清澄山  法華碕  米ヶ浜  由比ヶ浜
竜の口  三国峠  御殿場  芝 川 
身延山  桜 峠  波木井郷 御坂峠 
山中湖  三国峠  足柄峠  池 上 

以上16点。

「富士と日蓮大聖人」
   改訂版 1997年4月1日公開
   著者  松岡裕治(写真と文)
   Copyright;暁洲舎,1997 japan

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(清澄山)


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